貸した金 返せよ〜♪♪〜
孫次郎君は8年前会社の同僚にせがまれて100万円を奥さんに内緒でこっそり貸した。一応手書きの借用書は書いてもらったが、返済期限も書いてない上、担保も連保人も取らなかった。他の同僚の入れ知恵を得て年利20%とし、1年後一括返済という約定で20万円を天引きし80万円を渡した。返済日になった時、その借主は10万円しかない、という一方的理由で返済しなかったが、利息に充当してもよいというので元金据え置きとして更に1年待った。翌年には5万円しか返済金が出来なかったと言い、そして又1年待ってくれというので前年同様の扱いとした。

そのうち突然借主は会社を辞め、行き先も告げずに消えたので、焦った孫次郎君は一括返済を迫ろうとしたが自宅にいるはずの借主とはなかなか会えない。借主の奥さんに何度も連絡するように言ったが全然連絡とれず。時効が近づくのではないか?と悶々とした日々を過ごす。
いつまでもこんな状態じゃ自分の心が割り切れない。

ある日、某無料法律相談会へ行き法的回収手続をレクチュアーしてもらった。自力救済は禁止ですぞ、と言われたが、訴状や準備書面などごちゃごちゃと専門用語を並べて説明されてもまどろっこしくてしょうがない。わずかな金額を回収するには現行の法的手続とやらは労多くして益少なし。

そこで仕事で知り合った会社社長に相談してみた。
その社長は倒産歴2回。最初不渡りを出した昭和40年台前半の時は、債権者から強制執行をかけるぞ、と脅かされたものの、決してひるまず会社の社長の机の上であぐらをかき、両腕を組んで頑張っていたところ、乗り込んできたのは執行官ではなく暴力団系取立屋であって、両側からそのまま抱きかかえられて会社前に横付けされた債権回収屋のトラックに放り込まれ拉致されてしまったそうだ。

そんな話を聞いたことがあることを思い出し、その社長に聞いてみると
「法律ってーのはな、金額の小さい問題にはあまり役に立たないんだよ」
孫次郎「でも最近は少額訴訟っていう簡単な手続が出きるようになったそうですよ」
社長「ふーん、知らないな、そんなもん。それより安くて早い方法はいくらでもあるよ。裁判所なんか行かなくても」
孫次郎「どうやるんですか?」
社長「一杯 ひっかけないと思い出せね^な」   (サイソクサイソク)(^o^)
孫次郎「ほいじゃあ 場所を飲み屋に移しましょう」

やがて近所の飲み屋に場所を移して本論開始。
「まず、催促をしなくちゃいけないな。手紙はだめだ。中味がヒトに見えてしまうような、誰も見ないかもしれないような、あいまいな手段がいいな。そう、ハガキだ。ハガキがいいな。ひとからお金を借りて返さない輩は大概見栄っ張りで秘密主義者が多いから、ちょっとだけ周囲の人にそこはかとなくどことなく秘密が漏れるようにする。内容証明郵便なんかよりも効果があるよ。」
孫次郎「それって、ノーマルなやり方じゃないですよね。それにハガキなんかこの電子メール時代にはすっかり使う人もいなくなってるし、僕も使ったこともないしー」
社長「あのなあ、ハガキっていうのはそうゆう時に使うんだよ。単なる通信手段じゃないんだよ。そこんとこに気が付け、頭を使え、一石二鳥効果を狙って葉書を使え。痛いところを突け!ヒーック(^^)えっ? なに?ノーマルなやりかたじゃないってか?あたぼーよ。フツーに請求してフツーに返済してくれるほど世の中甘くはないぜ。もう何年経つんだ。ずっとウソつかれてきてるんだろ?金を借りるという表現を金を駆るというヤツがいるくらいだからな。金っていうのは借りちまえばこっちのもんよ、と相手はほくそえんでいるんだぜ、きっと」
孫次郎「???」
この一瞬の隙を突いて社長はマスターに向かって「すいません、イカゲソ下さい、大盛りで」(^o^)←飲みすぎ状態

黙りこくる孫次郎に向かって酔っ払い社長は話を続ける。
社長「いいかぁ 日本は儒教精神に溢れているから恥じの文化っていうのがある。そこを突くんだ。それでも相手が動かなかったら今度はドアに張り紙せえ。アパートのほかの入居者の目に触れるようにするんだ。」
孫次郎「それって、なんだか違法行為なんじゃないですか?」
少し酒のまわってきた社長「ばーろー。違法とか合法っていうのはなあ、捕まった時に逮捕理由として警察が書くときに使う大義名分だ。夜中に貼っちまえば証拠もなかろー。」
孫次郎「捕まらなきゃなにしてもいい、って、いや、僕はちょっとそこまでは出来ません」
社長「あ、そう、そーゆーこと言うの。法律のどこに違反するのか具体的に言ってみな。ぎりぎりの線上を行くんだ。頭を使え。分析しろ。   限界事例って知ってる?何?そんなこと勉強してないって?ほな、あとはもう知らん。独りで勝手に悩め。」
孫次郎はお酌しながら「ちょ、ちょっと待って下さい。他にはなんか手はないんですか?もちっとソフトなやつは」
社長「じゃ、請求書をドアポストに入れるか?」
孫次郎「そんなこともう何度もやってますよ」
社長「ばーか、隣の家に投げ込んでおくんだよ。本人の家に何回投げ込んでもラチがあかなかっただろ。今まで。ごみ箱に捨てられてたんだよ」
孫次郎「あ、そうか。(^o^)その考え方を頂きます。」
社長はお猪口じゃ物足りなくなってコップをもらい、ぐびぐびコップ酒を飲みながら「ああ、本当におめーは甘いな。そんなんで満足しちゃうの。話はまだ序の口だぜ。」

                      

  追伸  本当はこっから先が面白いのだけど、ちょっと書きにくいので割愛させて頂きます。m(__)m