立会登記で異なる司法書士事務所が共同申請するケース

不動産の売買が成立し、売主買主双方が履行準備を完了すると決済日を迎える事になる。
売主は借りているローンの担保抹消書類を準備し、当日までの金利を払って引き渡しを受け抹消登記手続きを司法書士に依頼するのが一般的。
一方の買主も融資を受ける銀行が指定する司法書士に所有権移転登記申請及び担保設定登記書類を揃えて渡す。
この行為に残金決済を伴い完了するのだ。
厄介なのは売主と買主の指定する司法書士が異なる場合である。
共同して日程場所書類確認などを同時に行うため同業者間による調整が必要となる。

池袋の円月堂司法書士の愚痴を転載する。

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抵当権等の抹消登記を伴う売買案件では、抹消と移転（＋設定）で

司法書士が分かれることがたまにある。

司法書士は移転の登記費用を負担する買主が指定するのが普通であり、

それに伴って抹消に関しても売主から依頼されるのが一般的なのだが、

売主が抹消に関して懇意にしている司法書士を希望する場合などには

応じるしかない。

しかし、これはいろいろな意味で関係者全員にデメリットが多い。

基本的にオンライン申請ができない（方法はあるにはあるが、

あまり現実的でないので割愛する）ので、紙申請となる。

これにより買主に請求する日当と交通費が増える。

現在は影響ないが、今年の３月までは登録免許税に関して存在した

オンライン軽減も使えずに数千円を余計に負担する必要もあった。

司法書士としても、移動の時間が増える、手軽な電子納付ができず

高額な印紙を買って貼るという手間が増える、後から印刷だけ

すれば済むようになった受領証をあらかじめ作成する必要がある、

完了通知を受け取れないので、いつ完了したか正確にわからない、

等の不便なことがいっぱい。

いや、昔はそれが当たり前だったんだけどｗ

まだある。

抹消書類が決済の場で揃わないパターン（決済後に売主側の

人間が取りに行く）なら、登記所で待ち合わせる煩わしさがあり、

抹消書類が揃うパターンだと大抵「じゃあ、申請はよろしく」となる。

これも以前書いたので今回は掘り下げないが、相当ふざけた話だ。

だが、ここまではまだいい。

一番の問題は手続をさせてもらうわけではない抹消に関しても、

買主さんに対する責任から一定の確認をする必要がある

ということである。

だいぶ以前に取り上げたが、多くの金融機関は事前の確認のために

抹消書類をＦＡＸするということには応じない。

確認したけりゃ見に来いという驚くべきスタンスである。

それ自体も腹立たしいが、地元の池袋だったら議論するより

手っとり早いので見に行ってしまうことが多い。

言うまでもないが、売主は私に報酬は１円も払わない。

かといって買主に上乗せするのもどうかと思う。

結局、この部分は無報酬で行うことになる。

そして、実は売主自身にもデメリットはある。

抹消を買主側の司法書士に任せれば、大抵の司法書士は

日当を買主にしか請求しないはずなので、売主は抹消本体の費用だけ

負担すれば済むのだが、違う司法書士に頼めば、

その者としては日当を当然売主に請求することになる。

多少は割引するということはあるにしても、

わざわざそのためだけに出向くのだから、

日当を全然考慮しない請求はまずしないのではないだろうか。

こういった諸々があるので、買主側の司法書士としては

売主側の司法書士を当然うとましく思う。

ノコノコ出てこないで「お気持ちは大変うれしいのですが、

今回は買主側の司法書士に任せた方がいいのではありませんか」

と、やんわり辞退するのが良識ってもんだろ。

と言いたくなる。

売主は上記のような事情を知るわけがなく、

ほとんどが単に登記の仕事があるなら懇意の人に頼みたい

と考えて依頼するのであろう。

それは自然なことで批判する気は毛頭ない。

過去に「自分は決済の日に行かないけど、本人確認は

抹消をする司法書士が済ませたからいいだろう」と

強硬に主張する人がいて、そういうわけにはいかない

ということをいくら説明しても理解してもらえずに

難儀したことがあるが、それは例外。

大半の売主は何が何でも自分の抹消は知り合いに頼みたい

とは考えていないはずである。

しかし、相手の司法書士は違う。

そうした事情をよくわかっていて、自分が逆の立場、

すなわち買主側の司法書士になることだってあるだろう。

そのときは売主側の司法書士をうとましく思うに違いない。

同職からうとまれるような仕事をなぜ受ける？

抹消だけでたいした金額にもならないのに。

事情をちゃんと説明すれば関係を悪化させることなく

断ることは十分可能である。

なにしろ売主自身のためでもあるのだ。

そのことを秘して受託する時点でどうかしている。

現に私は、逆のパターンで何回か辞退している。

それが得意先のためになり、自分のためにもなり、

名前も顔も知らないどこかの同職のためになるのだから。

「お互い様なんだから、司法書士が別々になって

不便・不快でも文句言わずに我慢しよう」よりも

「お互い様なんだから、司法書士が譲り合うのを共通認識とし、

抹消と移転の両方を受託できるようにしよう」のほうが

遥かにいいではないか。

どうしてこんなことを書いたかというと、

つい最近買主側の司法書士となった際に、非協力的だった売主側の

司法書士に対して上記の自論を展開したら、

「お前にそんなこと言われる筋合いはない！」

とブチキレられたからである。

自分よりも品位保持義務に違反した司法書士に初めて出会った。

最初は「自分も別に抹消だけなんかやりたくなかったけど」とか

言っていたくせに逆ギレするということは、

痛いところを突かれたからで、結局は多少相手の司法書士に

うとまれたとしてもその抹消をやりたかったのだろう。

浅ましい。

こんな調子だから譲り合うのを共通認識とするなんて到底無理な話だが、

それでも売買に伴う抹消だけを頼まれたら、私は今後も辞退するだろう。

私ひとり（あるいは少数の同士）だけがバカを見ることになるが、

それは仕方のないことだ。

誰かに蔑まれながら仕事をするよりはずっといい。

http://hwm6.spaaqs.ne.jp/nemuri/


ーーーーーーーーーーーーーーーー引用終わりーーーーーーーーーーーー

先週は某大手不動産仲介業者の紹介で戸建てを現金で買った親戚の決済に立ち会った。
初めて不動産を買うのだが売主の付けている担保が売買代金より多く、いわばオーバーローンだから怖い、そんな事がありうるのか疑問だというので契約段階から立ち会って内容を分析し、安心感を授けてあげた。
あーそれなのに前日までその大手さんの担当者は登記関係の書類をデリバリーせず、決済場所から一時間も離れた遠方の司法書士を買主に知らせずに立ち合わせた。それも契約の翌日からのデリバリーだったので完全に無視された格好。わざわざそうするには多分バックリベートを取っているのだろう。他の大手はとっくにやめたのにね。
ま、いいか、こっちは契約履行と戸建ての取得を無事完了させる事が目的だからわずらわしい登記の仕事をせずに済んで決済手続きに集中できたのだから。
このように売主の担保登記抹消責任と買主の所有権移転登記は一つの事務所に集中した方がよいのだが買主側が譲るのは珍しいかも。だって移転登記費用の方がはるかに高額でありかつそれは買主負担なのだから普通は買主指定の司法書士が担当することになるのである。

譲った者は譲られるという相対関係論。
司法書士に限らず他の組織にも当てはまる互譲互助精神は日本文化。
社長ポストも同じである。

モドル