実の弟には子供が居なかった。そのまま足腰が弱まりとうとう介護施設に入所した。高齢なので年金ぐらいしかない。そこで遠くに居る兄弟が現金を渡して資産形成支援をしていた。元々名家だったのだが末端の弟までは面倒を見切れない、それを可哀想に思った長男と二男が弟に仕送りを続けていた。感謝していたのは弟だけでなくその配偶者（ゆきこ：仮名）も同様だった。二人には子供が居なかったので弟の妻である義理の姉も夫の兄貴らからの仕送りを頼りにしていた。
３年前、その弟が亡くなり葬儀費も長男と二男が立て替えて仕切り弔ってやった。故人の妻ゆきこも感謝していたが遺産分割協議せずに３年を経て、そして二年前からボケが出始めていたためこのままでは管理出来なくなり、実の弟から預かった銀行預金通帳も判子も土地建物の権利書も、身近にいるゆきこばあさんの妹の子（太郎：仮名）に預けた。
ホームへの支払いや電気ガスなどの手続きをやってもらうためだった。
そのゆきこさんが亡くなったので葬儀の相談に、肉親たる元兄弟の家の長男と二男が太郎に会いにいくと「葬儀はしない、それが流行だ」と拒否された。
それじゃ可哀想だ、実弟の妻だったんだからせめて名義だけでも、と説得して喪主にしてあげて、段取りや葬儀費用や花輪、費用を建て替えて払った。
ところが太郎は香典をもらいながらも費用を払おうとしない。それどころか元々実弟の遺産だった通牒を渡さず会計報告もしない。
そりゃおかしいだろー！！と言っても電話をガチャンと切ってしまう。
倫理観欠落状態の甥に対して二人は怒り心頭。
なんとか権利書や通帳を義理の甥から取り戻せないだろうか、という相談。
長兄は先ず市役所の法律相談所へ行った。困った時の役所は中立公平の金字塔、最初に相談に行く人が多い。
相談担当者の回答は→通帳を盗られたんだから警察へ行ってみたらどう？
で、
警察へ行った。
相談担当者の回答→民事不介入だからね、動けませんよ警察は、法テラスへ行ったらどう？
で、
法テラスへ行った。
相談担当者の回答→交渉ごとになるから弁護士事務所へ行ったらどう？
で、弁護士会へ行った。
相談担当者の回答→裁判所へ行って相談せよ
で、家裁へ行った。
相談担当者の回答→相続回復請求権行使で提訴か調停申し立てするなら司法書士事務所へ行ったらどう？
ん？
どこの事務所にしたらいいか分からなかったので二男に相談した。
それならマゴタ先生の処へ行こう。
で、漸くここへ来ました。
司法書士の回答↓
高齢者の兄弟相続だから除籍謄本など沢山必要、
高齢のおばあさんで借金が無いならば家裁放棄はするな相続分譲渡証の作成が肝要だ、
先ず各自の戸籍謄本印鑑証明書住民票などを取り寄せ手配せよ、
貸付たか贈与したか不明な支援金の支給日と金額をメモした書面の作成、
４９日は儀式をきっかけとする交渉チャンスだ、法要を目指して主張したい論点二つを整理して数字に表し、
それを太郎さんに談判する事項として摘示せよ。
具体的方針を示してもらいようやく二人は笑顔を見せた。
