数年前、暇そうにしていた秋の夜、多重債務者の悲惨な生活ぶりの報道をテレビで見たという中年女性が翌日突然マゴタ司法書士事務所に電話してきて言うには
「ねぇねぇあのテレビ番組を見た？秋田県のあの女性は、過払い金返還請求出来るのにそれを知らずに２０年間も毎月高金利をSファンドに払ってきて、もうお金が無くなってしまったのだそうですって。高齢になって病気がち、もうふらふらだそうですね。いくら払っても全部利息に消えてしまって元金が全然減らないらしい。一生払い続けなければいけないなんてひどい。ひどすぎる。今、裁判すれば借金が消えるって司法書士がやってること、あるでしょ、早く教えてあげなくちゃいけない、あのままじゃ可哀想ですよ」
マゴタ「司法書士会や弁護士会で多重債務者救済策を広報してるからそれで十分じゃないの？それ以上は知らない人が悪い、親戚や友人が聞きつけていずれ誰か教えてあげるんじゃないの？」
正義女性「そんな事じゃだめですよ、個人でももっと広報してあげないといつまでも高金利で苦しむ人が溢れてしまうじゃないですか！」
マゴタ「そりゃ秋田でやればいいじゃん」
女性「東京だってまだ知らない人が居るから広告してでも知らせるべきですよ」
マゴタ「司法書士は昔っから禁止されてたから広告代なんか払った事が無いよ。」
女性「じゃ、チームを作りましょう、広報を検討する会議、参加者は私がセットするから」
と、繰り返し言うもんだから、じゃ、ま、いずれか、いつか、気が向いたら・・・(-_-;)
と、生返事をしているうちに日取りが決まったと連絡あり。
これまた突然の事にて、仰天しながらも、ま、悪い事じゃないからやってみるか、と。
彼女は中年美人だがどっか政府系独法に勤務しているらしく、人の不幸を救済する時間的余裕なんかないはず。
ま、いいっか、仲間と言ったって誰を連れてくるか分からんけど、弱者救済策の民間版ということで、皆でワインでも飲むか、と思い、会議当日の昼間におつまみとワインを用意して冷蔵庫へしまっておいた。
多重債務者救済判例をコピーして二部ずつ並べ、予習復習もしながら約束の六時半が来るのを事務所で待っていた。
六時５分ごろ、突然事務所のドアが開いて大きな声で「ちわー、おまちどー様でした、マゴタ様、六時過ぎでよろしかったですよね(^o^)」と大きなピザを両手に抱えたサービスマンがタ・ク・ハ・イ・・・・・
「えー確かにうちの事務所ですけど注文した覚えが・・・？？」
で、伝票を見るとマゴタが注文主と書いてあり、電話番号も住所も間違いない。
そこで思い出した。
昔、司法書士の度重なる攻撃に手を焼いたサラ金業者が嫌がらせにその司法書士の自宅に客を装ってピザ１０人前、かつ丼１０人前と毎晩ニセ注文を繰り返した事例を思い出したが、今回は４人前のミックスピザ。
嫌がらせにしちゃ量が少ないな。
なんだか変だな。と思いつつ財布から金を取り出して払う。「まいどー」と、サービスマンが答える。
忙しそうにしているのを見ると「私は頼んでないよ」と、言いたいが無碍にも断れないし。
会議用テーブルの中央にドカンと置いて誰だか知らない２人を含めた３人を待つ事にした。
その数分後、今度は生ビールの樽を届けに別のデリバリー業者が来た。
「すいませーん、ちょっと遅れましたけど、３リットルのでよかったでしょうか。」と伝票をマゴタに差し出してサインを求める。
これも注文した記憶も打ち合わせした覚えもないのだが、宅配伝票を確認したら間違いなくマゴタ名義だったので仕方なく料金を払う。
ビールの樽とピザが会議予定のテーブルに並んだ。
何のことやらさっぱりわからないで放心状態のマゴタ司法書士。
そこへまた「ちわー、と、元気な声。」
へ〜〜い、又かよー(T_T)/~~~
代金を払って ・・わー 今度はパエリアだって。鉄鍋は返却しなくてもいいんだって、うれしー。(^o^) って、どーなってんの？
今夜は多重債務者救済会議じゃなかったの？
それになんだよこの量は。
何人来るんだよ？？
愕然としているところに女性三人組がさっそーと登場、「遅くなりましたー、課長が帰り際に下らない打ち合わせしよーっていうので」
なんだよ女三人かよ。きいてねーよー(T_T)/~~~
しかも政府系独立行政法人に勤務する仲間じゃないか。
弁護士でも司法書士でもないじゃないかー？？
「あら、もう先にパエリアが着いちゃってるじゃない、冷めないうちに、センセイも、さ、早く＼(゜ロ＼)(／ロ゜)／」
って、それって俺が金を払ったんだけど・・
こんな調子で会議は始まった。
やれやれどんな話になるのか。。。トホホ
続く