質問メール
司法書士様、はじめまして。
不動産売買の解約と登記の申請方法についてご相談させて頂きます。
平成1８年1２月、母単独名義の分譲マンションを実の娘夫婦に贈与するのではなく、市場価格よりは少し安い1千万円で売ることになり先ず手始めに最初の\125万円を頭金として支払い、
残金は有る時払いの催促なしっていう内容で売買契約をしましたが、
その後から次第に母と同居中の娘夫婦との間に色々な行き違いが起こり、先行きの不安から母が代金を全て娘夫婦に返金してでも売買契約を中止し、所有権を戻してもらったうえで娘夫婦に出て行って
もらいたいと言うようになっています。
何やら持分一部登記してから態度が変わったとか、全部自分のものになるのよ、とか、うそぶいている話が伝わってきたことや、
代金を少し払っただけで生活はなにも変わらないのに手元にお金がなくなって思うように遊びに行けないので八当たりしているみたいです。
とはいえ、もう、こじれてしまったので、私には口をはさむ余地がなくなっている状態です。(;_;)ｳﾙｳﾙ
そこでなんとか母の気持ちを実現してやりたいと考えているのです。
現時点での登記簿に記載されている所有権は母(１０分の９)、娘が(１０分の１)となっており取引期日、残りの所有権移転は何時までにといった文や特約事項は売買契約書
には特に明記されておりません。
お互いの話合いでは解決不可能な為、法律的に売買契約を解約(代金は全て返金)して母単独名義
に戻し、娘夫婦に出て行ってもらうことは可能でしょうか？
また
可能な場合どのようにすれば良いでしょうか？
余談で恐縮ですが母は心労で体重が38Kgまで減ってしまい体力もかなり弱っています。
ご多忙のところ大変申し訳御座いませんが御回答の程、宜しくお願い申し上げます。
【回答】
親子間の売買契約は有効です。
税務署にはどのように届けましたか？持分一部売買を履行済みとしたのか、何もしていないのか、が問題です。
普通、分割払いを長期化する場合は、全ての代金が完済されるまで移転登記はしないのですが、買主たる娘夫婦の要望で、「払った分だけは登記したい」となったのでしょうか？
だとすれば簡単には解除はできません。
つまり
何か解除事由に該当するものがあるかどうか、実際の契約書を見ないと判断はつきませんが、
普通は売買の動機をうたったものはないので、気が変わっただけでは解約は母親側から一方的に
することはできません。
騙されて安く契約させられた（詐欺による取り消し）とか
名義変更しないと老後の面倒はみないよ、と脅かされたとか、あるいは投資話や宗教的安堵感の提供などのうまい話に乗せられたとか、
そうゆうような内心の動機に関するものは表意されていないので解除事由とは認められません。
そこで、次に考えるのは、合意で解約することです。
既に受領した売買代金を返還する代わりに持分を返還してもらうという内容になります。
娘夫婦が母親の気持ちを理解してくれれば可能となります。
要するに動機の錯誤は裁判所では認められないとしても親族同士では話し合いの余地があるということです。
それが不可能ならば解除事由に該当しないため、共有状態は法的には解消されません。
娘夫婦に出て行ってもらうという要求についても契約や法律には規定がありませんので合意が必要です。（立ち退き請求）
当事者同士で話し合っても無理ならば場所と間に入る人を取り換えてみるのも一考です。
例えば
合意形成の場として、調停や司法書士ADRの利用が可能ですので司法書士会に相談してみてください。
その場合でも相手方が欠席すれば何も決まりませんが、公の場に相談したという事実を通じて
娘夫婦らにも少しは母親の強い希望が伝わるので合意形成ルートの一部としての効果が
期待できます。
母親の翻意により娘夫婦も困惑しているかもしれないので腰を据えて主張することが大切です。
その場合には親戚などの応援団も必要となるでしょう。
それにしても凄い心変わりですね、相手方も驚いているのでは。
人間はお互いにハウリングし合って生きているので、ナマモノなのです。
ケーキだって和菓子だって寿司だって変化します。
ペットも観葉植物も住宅もいきものですから変化します。
長期的視野が必要です。
肉親は生涯死ぬまで関係が変わらない。
しかし、結婚やら出産やらで心は変化するのがつきものです。
従って長期契約は強い信頼関係と仮に騙されたとしても許せる相手としか締結してはいけません。
一旦全部払ってもらい、母は抵当権設定登記して、支払が止まったりしたら競売する、ぐらいの方がよかったですね。
あと、不動産取得税は当事者の動機に関係なく、登記所からの通知に基づき自動的に課税されるので注意が必要です。
解約して持分を戻す場合も同様です。
↑ 売るとか、売るのを途中でやーめた、とかいう種類の問題、つまり意思の強制は遠い山の向こう側へ辿り着くぐらいの計画性と道具、人的助言や介入を得てから実行すべし。
こんなことになるような方々なのだからきっと税金対策も考えていないのでは、？？
モドル