注１・協議離婚の場合はこれら法定原因による制限はない。神様の前で申し開きできればそれで済むので手間要らず。モラルオンリー。カソリックの国と比べると、婚姻を契約として捉える法的根拠があるので簡単便利です。いやぁ、本当に日本は良い国だ。
注２・協議離婚をしようとしたが話し合いが不調となり、調停を申し立て、その調停でも合意に達せず、裁判にて離婚請求を求める場合に必要な理由が法定離婚原因である。出るべきところに出たら、終わりのシーンもそこで決着をつけなければならなくなる。始まりと終わりのことを「始末」という。
土方歳三in高幡不動尊→
土方は近藤の死後もその遺志を継いで転戦し、函館五稜郭で戦士するまで己を通し組の始末をつけた。
NHKも新選組とタイトルを付けたならば、近藤の死を以って放映打ち切りにすべきではない。あれじゃ、近藤組み物語になってしまう。
協議離婚に至る経緯と形態、その発生理由と動機には実に様々な人間模様がある。
男女の仲は相対関係の最たるものであるから、そのバランスが崩れる時には周囲の人や仕事の出来映えなどにも影響を与える。例えば銀河星雲太陽系の場合、木星が「僕は火星さんのことが好きだー」と言って突然動き出せば宇宙のバランスが崩れて地球も天変地災に見舞われ、富士山大爆発ぐらいでは済まない程度のパワーが動き出して周囲に迷惑をかけることになるのと同じである。
うまく、そっと、傷つけないように別れるにはそれ相応の知略を巡らさねばならない。裁判所という役人が経営する役所の判断を仰ぐようなことになれば、
会いたくもない相手を前にして、
思い出したくも無い過去を思い出し、
事実と証拠を明示して
自己の正当性を主張立証しなければならない。
訴訟代理人として弁護士さんに依頼すれば間接交渉となるので多少は和らぐものの、他人に内輪話をしなければならないもどかしさは同じである。
その点、協議離婚は水面下で交渉できるので時間的にもコスト面でも自由が利くし、人間力としての実力差が出るから、知能が比較的高くて精神力の強い方にはお勧めの交渉方法である。
とは言っても強情と学歴には関係がない。
人間力があるかどうかがポイントなのである。
そして仮にその方法をとるにしても、最終的には法的強制力を得られることに越したことは無いので、これら法定離婚原因の相場を事前調査しておくと、相手を追い込みやすくなる。そのためには日頃からポイントカードを作り、そこへ追及事項を書き溜めて置くと良い。しかし、途中でバレルと元も子もなくなるから、頭の中にしまいこみ、決して漏らさないことが必要である。交渉に入り、追い込んだところで和解案を提示、慰謝料や財産分与額をアップするのである。悔しさは感情の量で変化するから、気分がハイの時は思いっきり分捕ってやるまで許さない、という要求に変化する。感情と勘定の相対関係はここでも垣間見ることができる。
実例紹介。
さて、利口な美人主婦であるエリコさんはたいした学歴もなく、知能も高くないけれど、人の名前と会った時期を記憶する分野は抜群だった。この能力は全然今回の話に関係ないのだが、他に思い出せる特長もないのでこれしか書けないという程度の人である。そのわけを聞いてみたら、昔スナックのママをやってたので、どうやらその頃にこの能力が開発されたらしいと言う。何の変哲も無い幸せな主婦である。
夫もマジメで不貞もなく、悪意遺棄をするとは思えない善良な人である。
神戸異人館→
（家庭円満は夫婦円満から。家はその道具の一部に過ぎない）
ところが日頃から夫に対するエリコさんの口を使った手裏剣攻撃が素晴らしい。事前に相手の周囲に手裏剣を投げて動けないようにする。というより、自分の好む方向へ動くように巧みに誘導する。例えば忘年会シーズンになると「明日は何時に帰って来るの？鍋料理だから子供とみんな一緒に食べてもらわないと困るのよ、越前ガニが届くし」と美味料理で釣る。会社の定期健診で夫が糖尿病の一歩前であることが判明したので、その情報をしっかり記憶していて、ずっと言い続けている。間接的に指摘するにとどめ、決して発病寸前である、というような直接的表現はしない。夫は勿論自宅では浴びるほどは飲ませてもらえないことになる。夫の健康管理は妻の責任である、という自覚による。豚は肥やしてから食え、という格言を実行していることになる。(^.^)同様に、子供の誕生日会だとか結婚記念日とか法事の日程まで仕立て上げ、企画力抜群なうえにサービス満点の接待をするもんだから親戚筋からも高く評価され、周囲からも期待されているのである。周囲からの期待は見る角度を変えるとプレッシャーにもなり行動規範にもなる。自分の先祖はもとより、夫の先祖までお祭りをやってあげるのだから夫とはいえ、否定はできずに行動を余儀なくされる。亦、これらは子供に対する先祖奉りの教育にもなるし、人間は赤ちゃんで生まれ、大人になっても永遠の命を各自みんな体内に共有するのだから独立しても他人に感謝する気持ちを忘れてはいけないよ、という道徳教育も兼ねている。その評判がまたまた親戚筋からお褒めの言葉として廻りまわって舞い戻ってくるから夫は妻のイベントに従うようになるのである。結婚生活も長くなってくると古女房に対して飽きっぽくなる男性諸氏も多い中、エリコ妻の家庭会社経営がしっかりしているので相棒の夫も段々とそういう感情に仕立て上げられてきた。世代交代がうまくいく、と予測される過程を暗示している。
神戸異人館２→
夫も最近は加齢に伴いだんだんと古くなってきたので娘から「きゃーカッコわりー」と言われ、妻としてもちょっと気恥ずかしい。そこでデパートへ連れて行って買い物かいもの。リニューアル作戦開始。
家庭内移動の際のステテコ着用禁止令を出すとともに、ネクタイも古いものを捨て去り全てリニューアルした。形から入ると気分も変わるから。口だけで諭しても中々変われるものではない。変心とは変身から始まる。勿論自分のドレスも序でにちゃっかり買った。(^.^)
そんなエリコさんの最近の手裏剣言葉は３Cと３げ。
３Cとはカー、クーラー、カラーテレビ（１９６６年当時）ではなく、シミ、シワ、シラガのことである。これらは美観不備の夫の定義であるから、絶対許さない、という強い決意であもあり、事あるたびに口に出す。夫は之を否定しないが、実現努力しなければ夫婦関係維持義務違反として協議離婚の際に夫を責める道具として歴史的事実を主張するつもりである。直接的法的効力がなくても、間接事実を積み上げようという作戦を無意識のうちに実行しているようだ。
次に「３げ」原則を提案し、その実行を迫る。
「３げ」とはハゲ、ヒゲ、ムナゲのことであり、自分が気持ちわるいと思っていることを常々口に出しては夫の淡い遊び心を心の奥にしまいこませる作戦である。万が一のことは、万にひとつしか起きないことなのであるが、もしそうなったら協議離婚は何でもアリだから、今から既成事実を根城にして全生活状態を押し込め、情緒的に責めるネタを日々仕込んでいるとも言えよう。直接対決準備はこうしてはじまっている。いやはや参ったネ。それにしても欲望、感情、思考のバランスがよい女性ですね。
