スペイン南部、コスタデソル（太陽海岸）の真上にあるミハスというところは西欧のお金持ちの別荘が山の傾斜にへばりつくように建っております。
その白壁は強烈な太陽と向き合って、とても美しい。
壁が全て真っ白に統一されているので光が反射してまぶしいくらい。
JTのCMにも登場するあの有名な見上げると左にちょっと曲がっている階段も確かにそのまんまで佇んでいましたが、あいにく電話工事中だったので興ざめして撮影を断念した次第。
青い点々がどれも自家用プールです。↓ 眼下に地中海の青い海を見下ろし、それはもう、絶景です。
太陽海岸と名付けられたこの地で一年分の太陽光線を浴びるために、ドイツ、フランス、デンマーク、イギリス、その他の西欧各国のお金持ちは交通渋滞をものともせずにドイツのアウトバーンを通り、スペインのフランコ独裁政権の作った無料高速道路を通って延々とやってくるのだそうです。そのためにスペイン国家は高速道路を無料化しているのです。確かに観光客を誘致すれば外貨獲得は楽なものです。日本みたいに工場を作って原材料を加工し、商品を製造して貿易せずとも直接現金収入が手に入りますから、これくらいのサービスは国を挙げてやるのでしょう。なにしろヨーロッパ中から金持ちが家族連れでお金を持って移動してきてくれるのですから、これほどありがたい話はありませんね。公害も出ないし。
別荘の所有者が長い時間をかけてここまで来た以上、すぐには帰る気持ちにはなれないので、本能的に一ヶ月くらいのロングバケーションになってしまいます。日本では有効国土面積が狭いおかげで三泊四日程度の短期集中型の充実した夏休みが当たり前の光景ですが・・^^;
2003年の記録的猛暑の時、何千人もの国民が脱水症状を起こして死亡しても、某国の保健省大臣はここから国内に残っている役人に電話で指示を出し、結局休暇を切り上げて帰国するなどの非人間的行為はしなかったそうですが、それほど魅力的な土地柄なのです。
ミハスの闘牛場は世界一小さい。（下の写真）
丘の上にあるので広い面積を確保できなかったことがその理由でしょうが、そこまでして闘牛を楽しむ国民性に対して動物愛護団体から毎年クレームがついているそうです。
それでもスペイン人は闘牛をやめない。
「あれは既に美学の境地に入っている」ことがその理由だそうです。
芸術なのだそうです。
毎晩のように闘牛の実況中継がテレビで放送されておりました。
日本では毎日のように大相撲やプロ野球が中継されておりますが、それと大して変わらんだろう、などと現地の人は言っておりました。
全く反省の色なし。
殺傷された牛の肉の処理はどうするんだ、と尋ねたところ、闘牛士の名前と日付けを付して小売販売するのだそうです。人間が食べるために殺すという目的は同一でも、その殺戮方法が残虐である、と牛肉を食する「愛護団体の人々」が言うのでは、あまり反省を求めるわけにもいかないだろーに。
真にとがめるのであれば、日本から仏教のお坊さんを派遣するしか方法がない模様です。^^;
それでは闘牛士の勇気とはどれくらいのものか、早速入場して場内を牛になったつもりで駆け回ってみることにしました。（３周）
↓
走り回って少々くたびれたところで、土の感触が膝辺りまで上ってきて適度な疲労が心地よくなってきた。そして やがて闘牛士気分に；
闘牛場が狭いだけに逃げ場はここしかない。赤い壁がやたらと興奮を誘う。
いよいよ、仮想闘牛士孫太の出番だ。ピーっ
ホイッスルを合図に牛との戦闘が始まる。相手は体重一トン近いオスの黒牛。乳牛や食肉牛とはワケがちがう。目つきが鋭く、獰猛そのもの。しっかしたかが相手は牛じゃねーか。
人間対牛。同じオス同士なんだ、遠慮はいらねーぜ。
と、シェリー酒を昼間っから浴びている赤ら顔のマネージャーから勇気付けられたものの、やっぱり足がなかなか言うことを利かなくて、体を横にしなければ入り込めないくらい狭い隙間から、おっかなびっくり顔を出す素人ニワカ闘牛士。ようやく決心がついて気張って出場してみたものの、ちょっと牛の機嫌を伺うように出ては挑発するが、怒り狂った牛にじろっと睨まれ、突進され、それでもって仰天してたちまちのうちにこの壁の中へ逃げ込む・・・・５歩は離れることができても、毎日訓練すればいつかはこの防護壁から１０歩、離れることが出来るだろうか？
→自信ないなあ。
右手は角で突き上げられて既に血だらけ・・・・へとへとになっているが、頑張らねばならない。相手はたかが牛畜生ではないか。「お前が食卓に上る日も近いぜ！！すき焼きにしてやるから覚えていろ」と恫喝しても日本語は通じないのだ。相手はスペインの牛なんだから。←ｿｳﾕｳｲﾐｼﾞｬﾅｲﾀﾞﾛ
やがてワインで酔っ払った観客から、オレンジの皮やオリーブの種を投げつけられて罵倒され続ける。「早く倒せー、何やってんだー」
んもー、そんな事、言われても、とにかくおっかないっす。気を取り直して左手でファイティングポーズを取るも、牛はあさっての方向を向いて「ふん、おめーじゃ勝負にならん」と言わんばかり。闘争資格には「格」がある、それを牛はいち早く見抜いてしまったらしい。・・・・蹴りもパンチも届きそうにないなあ・・・
あ〜あ、仮想するだけでも負けちゃいそう。
やっぱり闘牛士は尊敬してしまうしかないようです。
